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そーすけさんの日々

よしながふみ 本当にやさしい。

久しぶりだな、俺だ
国民衛兵から聞いた。
ラウル・ド・アマリックはロベースピエールの逮捕される少し前
ギロチンにかけられて死んだそうだ
ざまあ見ろ と言うべきなのか?俺は

いや・・・例え奴が生きていたとしても俺はアマリックを許そうと思う

ルソーの思想を胸にいだきながら独裁者になったロベースピエールを

誇大妄想狂の公安委員会を

あの可愛そうな宿屋の親父を

そしてナタリーお前の事を
俺を裏切った女
子供を捨ててそれでも平然としていた女
俺が誰よりも憎んだ女を俺は許そう

それから・・・

それからそんなお前を許す事が出来なかった俺自身を

ジャック
お前を愛さなかったら俺は今でも自分を許せなかった

~ジェラールとジャック~より


大奥で、よしながふみを知り

後に、"愛すべき娘たち"という作品で 見事にはまってしまい・・・

今、全ての作品のコンプリートにむけてコツコツ集めています。

月とサンダル
本当に、やさしい。
こどもの体温
彼は花園で夢を見る

これで全作品集めた事になるのですが・・・まぁ のんびり集めようかと。

で、色々読んで思ったのですが

大奥を読んだ時、これはおもしろい!!とは思ったんですが

自分の中で何か、1つ残るような作品・・・というわけではなかったんですよね

で、愛すべき娘たちを読み

各話で、主人公が違うのですが

実は、1人の母娘とつながっており

最終的に、その母娘の愛で落とすという素晴らしいラストになっており

おお!こいつはすげぇマンガだな!と評価を改め集めはじめたんですが

フラワー・オブ・ライフ以外は、ほとんどBL関係の作品なんですよね
(BL=Boys Love 男性愛をとりあつかった内容の作品)

さすがの私もBL作品は購入した事がないので、最初は凄いとまどったんですが

ええい、ままよ!と購入を決意。

ジェラールとジャック 執事の分際 ソルフェージュと最近でた文庫本をまず買ったんですが

これが素晴らしい出来。

BLといわれれば、腐女子の萌えという若干低俗(?)なものと思われがちですが
(あくまで、BLが興味ない人からの視線という意味で、、、)

同性愛というジャンルは、かつての少女マンガで流行った時期があり

その理由というのは、男女感の恋愛だと どうしても生々しくなってしまう為に

同性同士の愛を通じて、恋愛の本質を描きたい という意図からでした。

よしながふみの描く、同性愛は萌えといより

この過去の少女マンガに通じる、恋愛の本質を描きたいという

テーマやメッセージ性の強いものが多く

男性の私でも読書に耐えうる優秀な作品群だったわけですが

中でも、短い作品なのですが "本当にやさしい。"という作品が素晴らしく

今回、最後に紹介して終わりたいと思います。



高校も卒業出来ず、手に職も持たずヒモとして暮らす 悟は

ささいな口喧嘩から、同棲相手の首を絞め殺してしまう

慌ててその部屋から逃げ出した悟は、公園で謎の男性 ゆうに出会う

「ビスケ食べる?」

ガラス製の熊の瓶にビスケットをつめたゆうは、悟を家へと誘います。

「うちに、来る?」

ついた先は、大豪邸

怖気づく悟

「もし、誰かいたらタコ殴りにして逃げよう」と計画を立て家へと入ります。

本当に誰もいない豪邸

悟は、ゆうを押したおします。

「すげえ匂うぜ、お前今女としてきたとこだろ・・・んん?
 たく何にも知らなさそうーなカオしてるくせにやっぱ男だな
 やるこたやってんだ
 俺の好みは、本当は年下だけど今日は特別サービスな
 男の味 教えてやるよ」

朝になり 豪邸のベッドで、目を覚ます悟

「・・・そうだった あいつは?」


家政婦「あら、ぼっちゃんお早うございます。
     お部屋を片付けますよ よろしいですか?」

ゆう「ダメ!!」

家政婦「ぼっちゃま?・・・下に靴がありました。
     誰?男の人でしょ?」

ゆう「・・・・・・・・・・・」

家政婦「もう!わかりましたよ
     奥様にもぼっちゃんのよろしいようにと言われてるんですから」

ゆう「あ  ありがと・・・」

家政婦「ええ、どういたしまして
     考えたら犬猫よりマシかも知れませんね
     世話しきれなくなったら自分で出てってくれるんだもの」


警察は殺人事件と見て特別捜査本部を設置しました。
この女性の首には何者かに絞められたような跡があり
警察は、一連の殺人事件との関連性についても調べています。
これで、今日のニュースを終わります。

その日の夜のニュースでも、自分が殺した相手のニュースが流れず安心する悟


そして、その日の晩も悟はゆうを抱くのでした。


悟「お前、俺のお袋に似てるよ
  まーお袋は、お前と違って女だったから訳も分からずいろんな男に抱かれて
  中絶できなくて、俺が生まれちまったんだけど
  すんげー若くてキレーなおふくろだったんだぜ
  何たって、俺がセックスした最初で最後の女だもん」

ゆう「・・おかあさんと・・・ゆうみたいにしてたの・・?」

悟「ん・・九つの時からおふくろが死ぬまでずっとしてた」

ゆう「いいな・・お母さんが抱っこしてくれたんだ
   ゆうのお母さんはしてくれなかった・・・
   えと・・名前・・」

悟「あ・・悟」

ゆう「さとるは、きっとゆうよりお母さんに好かれてた
   さとるはいいなあ・・・」

悟「・・・どうしてだよ
  俺ずいぶんひどいやりかたでお前抱いたのに なのに」

ゆう「だ、だってさとるはゆうといっしょにいてくれるんでしょ
   ゆ ゆうはうれしいよ
   さとるはとってもやさしいよ・・」


悟「これから、俺以外のやつはセックスすんなよ」

ゆう「うん・・・」


お早うございます。5時30分になりました。


目を覚ます悟、しかしそこにはゆうの姿はなく

シャワーを浴びようとしているところを見つけます。

悟「ゆうどこ行ってた?
  何だよこれは!隠したってムダだっ!体中から女の腐った匂いがしやがる!
  ・・・そうかよ しゃぶってくれれば誰でもいいんだな!! 
  お前もやっぱり他の奴と同じじゃねーか!」

ゆう「ち、、ちが・・」

悟「何が違うんだよ!?出てく!!」

ゆう「・・・・・ま まってさとる ごめんね
   ゆう もうしないよ だからね」

悟「いいんだよ・・・おふくろだってそうだった
  お前みたいな奴に人の気持ちを分かれって方が無理な話だったんだ」


ゆうの家を出て、首を絞め殺した相手の家に戻る悟

「結局・・・ここで死体と寝るしかねーのか」

「誰が死体だって?お前もいい加減その性格直さないといつか人殺すよ
 あと今までどこ行ってんだぁ?今までの最高記録じゃん」

「うっせーよ」

「ふーん、まあいいけどね
 あーこれこれっ 今日は一日中このニュースだぜぇ」


今日午前10時頃
S区K公園内で近所の主婦A子さん(33)に
「ビスケットを食べないか」などと言って近づいてきた
不審な男に職務質問したところ
男は前日の5日夜に女性の首を絞めて殺したと自供を始めたため
その場で緊急逮捕されました。
容疑者はS区に住む 無職 古賀裕一(25)

「なーこれってうちの近くだよな
 でも この事件動機がわかんねーんだってさ
 こいつがビスケット食わないからだとかヘンな事言ってて」


ビスケ食べる?


古賀容疑者はその後、
先月28日に同区内で起きました殺人事件についても犯行をほのめかす供述をしており
警察は他の2つの殺人事件についても
古賀容疑者の犯行とみてさらに厳しく追求していく構えです。
今回の事件に関してH大学文学部の小野教授に伺いました

教授 家政婦さんの話ですと古賀容疑者は普段から大人しい優しい性格で
近所の方にもいつも笑顔で挨拶するような青年だったという事ですが

はい
家族や隣人には優しい思いやりのある青年が外では凶悪な殺人者になる
こういうケースは今までにも実際にありました。
家族や隣人は自己と一体化された「拡大された自己」に過ぎないんです
家族を愛することは、自分を愛することと同じ事ですから
優しいように見えるだけで、それは本当の優しさや思いやりじゃない


「・・・うそだ!!
 あいつは本当に・・・っ
 本当に優しかったんだ・・・
 俺が・・・俺がどんなにひどい事しても
 本当にやさしかったんだ!!」
by souhu090 | 2008-04-15 23:08 | コミック