そーすけさんの日々

カリフォルニア物語 吉田秋生 全4巻(ハードカバー)

かなーり前に購入していて、ずっと読んでいなかったカリフォルニア物語を

今日やっと読破しました。

確か、中古で全巻セットで400円とかなりお得なお値段で購入したはずです・・・

ハードカバーで、中々読む気になれなかったんですが

いざ読んでみると、おもしろく

感動して、2,3回泣かされてしまいました。


さてさて wikipediaを見てみると、作者の吉田秋生は

漫画を読まない漫画家としても知られると書いてありますが

本当なんですかね?

今は読まなくって、昔は読んでいたのか?

元からあまり好きではないのか、どういう意味でその発言をしたのかよくわからないのですが

個人的には、吉田秋生の絵柄は、他の漫画家さんの影響をうけているような感じがするんですが・・・

カリフォルニア物語の初期の画風でいうと、竹宮恵子系の絵柄ですよね

その後、カリフォルニア後期からBANANA FISHにかけては

完全 大友克広ぽい絵柄になっていますよね?

これらは、影響を受けて こういう絵柄になったのか それとも自分でこの絵柄を編み出したのか

微妙に気になるところです。


で・・・上の話につながってくるのですが

以前より、私は吉田秋生に関して感じる事があって

良い意味でも悪い意味でも コマ割り&構図が凄く単調なんですよね

カリフォルニア物語などの初期の作品もそうですし

中期の作品のBANANA FISH YASHA

最近の作品の海街diaryでも特にこだわった構図とかコマ構成がなく

あまりそういうところには、こだわりがない人なんだなと以前から感じていました。

これも漫画を読まないから

あまりそういう手法とか構図とかに興味がないのかと改めて思ったりしました。


カリフォルニア物語 wikipediaによると

1970年代の誰もが憧れる夢の地・カリフォルニアを、一人の青年の青春を通し

「いいことばかりではない」ということを浮き彫りにし、美化しない外国の姿を描いた とありますが


確かに、この通りで 一人の青年の青春を描いている作品です。

ただ、この作品がただの青春マンガになっていないのは

人間は、本当の意味では理解しあえないというテーマが色こく出ているからだと私は思いました。


理解しあえない家族

理解しあえない異性

理解しあえない同性

理解しあえない人種


青春作品には重要な、友情とか性愛とかというテーマも出てきますが どれも最後には壊れてしまい

壊れてしまってから後悔する

そんな状況が、人種の坩堝状態になり

政治的にも、治安的にも低迷していた頃のアメリカと重なり

登場人物の心情や状況、時代背景なんかにリアリティーのある作品になっています。


しかし・・・この作品、吉田秋生が20歳の時に書いた作品らしく

20歳の女性が、本で読んだ話 人づてに聞いた話を基にして書いたのかわかりませんが

実際の体験なしに、ここまで読んでる人に

リアリティーを与える作品を書いたのは凄いですよね


この物語の主人公のヒースは、家族と分りあえず家を飛び出します。

息苦しい家を飛び出したヒースは、NYへ

同じような境遇の仲間と一緒に暮します。

その中で、知りあった青年のイーヴと 今までにないくらい深く親密な友情のをきづきますが・・・

イーヴが、ヒースに恋をしてしまい

それを知ったヒースはどうすればいいか悩みます。

そんな日々の中で、色んな出会い 経験を経て ヒースも成長します。

あれだけ嫌だった家族とのありかたというものにも目を向けはじめるのですが

その矢先に、自分が劣等感を感じていた兄が交通事故で死亡

ささいな喧嘩で、家を飛び出したイーヴも何者かに殺されてしまいます。


大切な人を失い その度に、ヒースは後悔しその人の大切さを理解します。

わかりあえるのはいつも後になってからというか

わかりあえた時には、既にもうその人はいないという悲哀が涙を誘うんですよね・・・


カリフォルニア物語 3巻 兄の葬儀にて


兄さん
あなたはもういってしまうというのですか?
この美しい人を残して

父も母も妹もオレも
なにもかもがおそかったというのですか?
さようなら 兄さん

魂というものが、もしもあるのならば
いつもそばにいてわれわれが幸福であるように見守ってください



カリフォルニア物語 4巻
イーヴを殺した犯人を見つけ、ヒースはみんなのいるアパートに戻る

ヒース
「最初 あいつが死んだって聞いた時・・・”えっ そんなウソだろーっ”って思った
 二度目にあの死体置場でイーヴを見た時
 オレはハラが立って 吐き気がするくらいだった・・・
 とても信じられなくって・・・だまされてるような気がしたからだ
 イーヴが殺されたって聞いた時から・・・オレが犯人じゃないかって疑われた時から
 オレはずっとずっとハラを立ててた・・・とても悲しいなんて思ってるひまなかったよ・・・
 でも今は・・・とても・・・あいつはかわいそうだ・・・
 とてもかわいそうなことをした・・・もう少しなんとかなったかもしれないのに
 あいつは西へ行きたがってた・・・寒いとこはにがてだ・・・
 あったかいとこ行きたいってさ
 連れてってやりゃよかったな・・・あんなに行きたがってたのにさ・・・」

インディアン
「運命ってのはさ・・・あるんだよ
 どうしようもないことってのはあるんだ・・・おまえは十分してやったさ」

ヒース
「なにを?
 オレはなにもしていない」

インディアン
「彼はおまえと友だちになって救われたんだよ
 言ってたじゃないか・・・”オレをバカにしなかったのはあんただけだ”って」

ヒース
「なにもしてない・・・オレは他人なんか救えない・・・
 自分のめんどうだって満足に見られないのに・・・・・」

インディアン
「なにが救いになるかは本人にしかわからんさ そうだろ?」


特に、この2場面にはかなーり泣かされてしまいました。

ヒースは、この経験を経てどんな人生を体験するのかがとても気になる所です。


この作品は、勿論大人の方にもオススメの作品ですが

多感な、16,17歳あたりに読むと

自分の悩みとか思いなんかとシンクロして

人生のバイブルになるくらい感動する作品になるんじゃないでしょうか?


このカリフォルニア物語、文庫版 ハードカバー版だけなのかな?

最後に、短編で 夢の園という外伝作品がついてきます。

これは、ヒースが劣等感を抱いていた兄の視点の作品で

兄さんが子供の頃から大人になるまでの物語になっていて

ヒースの成長も同時に見れるんですが

兄が、どう思いながらヒースと接していたのか・・・などが分かり

こちらを読むと兄の心情とかがわかって、二重の意味で感動出来るんですよね

最後にこちらの台詞を紹介して終わりたいと思います。


庭はあいかわらず荒れほうだいだ
童話の”秘密の花園”みたいだといつも思う
春にはタマゴの黄身をちらしたような ミモザの花ざかり
昔の夢を想い出させる

わざと見つけやすいところをかくれ場所に選んだ
四歳の弟
十三歳の自分

弟はいつのまにか少女の声で話さなくなっていた

・・・もう長いことかくれんぼをしている
弟と自分と

お前は庭の奥深くかくれてしまっていくら呼んでも出てきてくれない

だがいつか
いつかこたえてくれるだろうか
”もういいよ”と声がするまで
もういいかい

まあだだよ

もういいかい

もういいよ

いつかきっと見つけだし

もうかくれんぼはおもわったのだと伝えるために
”もういいかい”と呼びつづける

そして今度こそ
弟の手をとり
夢の花園からつれ出して
明るい午後の陽のあたる場所へとどこまでも歩いて行くのだ

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by souhu090 | 2009-04-05 17:39 | コミック