人気ブログランキング | 話題のタグを見る

そーすけさんの日々

ビーム短編傑作選 奥村セレクション いちぢく編 マンゴー編

コミックビームという雑誌があります。

私は、雑誌は買った事がないんですが

うちには山ほどこのコミックビームの単行本があり

志村貴子、仲能健児、タイム涼介、唐沢なをき、三宅乱丈

と、作者の名前だけで購入を決定してしまうくらい

好きな漫画家さんをたくさん排出(一部違うけど)している雑誌です。

で、思うんですが

ガロっていう雑誌が昔あり

花輪和一さんとか、つげ義春さんとか、白土三平さんとかの作品を掲載した

いわゆる・・・前衛的な雑誌があって

昔の漫画好きの人とかは、必ず(?)読んでいた雑誌なんですが


かなり毛色は、違うし 特色とかも違いますが

コミックビームは、現代版ガロなんじゃないか?と自分的には思っています。
(後、IKKIとかも)

で、ビームの編集中の奥村さんという人がいて

その人、今では珍しいかなり武等派の名物編集長らしいんですが
(桜玉吉の御緩漫玉日記に時折登場します。
 関係ないけどアシスタントのトクコちゃんエロしです。
  映像で見たい方は、
  BSマンガ夜話のアイランドの回に奥村さんのインタビュー映像が流れます。
   ただ色んなマンガ家さんが書く奥村さんの似顔絵が
   似すぎているので見ても衝撃はないです。)

その人がセレクトした短編集が、

この ビーム短編傑作選 奥村セレクション いちぢく編 マンゴー編です。

かなり前から存在は知っていたんですが、ビーム系列の単行本が発刊された時期だったので

勝手に文庫で出ていると思いこみ

見つけられずにいましたが、先日偶然見つけて購入したんですが

やはり、少し変わった雑誌に載せられていた短編集というだけあって

この短編がどれも個性的で、どれも似た作品がない感じで

かなり新鮮な気持ちで読む事ができます。

個人的に、おもしろかった作品をポチポチ紹介して

最後に、一番お気に入りだった。

「虫の味がする」 鈴木健也を紹介して終わりたいと思います。


マンゴー編

「ブルーベリージャム」 三好 銀

仕事も単調で、普段の生活も普通で変わりなく
人生を少し投げだしているように思われている女性が情報交換雑誌で
僕のパンにあうような、美味しいジャムを作れる女性を募集の記事を見て
ジャム作りをはじめるといった話

絵がシンプルで読みやすく
女性の内面描写が個人的にリアリティーがあっておもしろかった。
読後もなんだかスッキリとしていて良し


「ヒヨラ」 熊鹿 るり

若い頃に宇宙人に会った場所に、もう一度年をとってから行く話なんですが
子供向けSFのような絵柄と世界観で、結構ジーンときました。
割と話自体は、テンプレートな感じですが
感動します。


「チェーンシティー」 新谷 明弘

チェーンだらけの塔のように上にむかってそびえ立つ街に住む主人公が
上の階層を目指して
日々自転車のようなモノを使ってチェーンを漕ぐという感じの話で
この人の人生観みたいなものなのかな?と思ったり
SFの短編を色々だしているそうで、是非読んでみたいです。


いちぢく編

「ばかねこ」 百名 哲

わけのわからないことにおびえる猫とその飼い主の女性の話なんですが
この猫を拾ってきた男に、その飼い主の女性は恋していて
猫も、その男性をご主人さまと思って待っているし
女性もこの家にこないとわかっていても心のどこかで待っているという話なんですが
最初ギャグかなと思っていましたが、後半結構シリアスな展開で
心があたたかくなるような作品でした。


「赤色エレジー」 仲能 健児

林清一さんの赤色エレジーからとったのか?
インドマンガとよく言われる、仲能健児さんの実体験マンガ(?)で
家に猫がやってくるので、猫になりきって裸で追いかけていったら
警察のお世話になるという凄い話
実体験なのかな!?


「空の下の人々」 山本 健太郎

地球の重力が増え、みんなやる気がなくなり
地べたで寝転がってしまう
主人公の男は、普段から若干無気力で内向的
みんながないなくなった学校で、憧れだった女性と文化祭委員に選ばれ
2人で会うようになる

オチが凄く良かった。
この人も結構気になる漫画家さんになりました。


「パンチ」 カイトモアキ

Sの男とMの女が出会う話なんですが、絵柄が凄い
あと表情
絵柄は、カネコアツシさんとか
殺し屋1の人とかに若干似ている感じがします。
キレてます。


「ネキスト・ジェネレーション」 小林 哲也

良い感じにデフォルメされている絵柄で
アートぽい感じのマスコットキャラとかをデザインさせたら
かなり良いキャラを作りな感じです。
内容もそこそこおもしろかったですが、絵柄に惚れました。


で、最後にがっつり紹介したいのは

マンゴー編

「虫の味がする」 鈴木 健也

この方、HPを持っていらして

少し、絵とかもUPされていますが女性を描くのが上手

女性を描くのが上手っていうか、女性の肉体を描くのが上手と言いますか

凄くイイいやらしさを表現していてイイ感じです。

げんしけんの大野さんのおっぱいは、もってりでかくなくちゃいけない!

って書いてる人がいましたが、本当にそんな感じで

もってりした女性の体を書いています。

今、初連載だと思いますが

コミックビーム系列の フェローズという雑誌で

蝋燭姫という作品を連載しているらしく、そちらも気になる所です。


平安時代の古典に『虫愛ずる姫君』という話があるそうだが
園田さんという年上の女性の場合は、ちょっと話が違っていた


主人公の竹内くんは、園田さんと一緒に学食を食べている


園田
「いやー竹内クンが字が綺麗な男の人で助かったよ
 塚本の奴からノート借りた事があったんだけど
 あいつの字つぶれた蟻みたいで全然読めないの」


この前僕はその塚本が園田さんの事を話しているのを偶然聞いてしまった。


「でさ、そんで冷蔵庫開けたら何があったと思う?
 バッタだよ!バッタ!!
 なんかこうビンの中にさワサッーと詰まってて
 あんなん食った口でキスしてたかと思うと気持ち悪くってさ
 マジ引いてさ
 ソッコーで別れたね」


それは、おそらくイナゴの佃煮だ

そう 園田さんは虫を好んで食べるらしい

その根拠は何もイナゴに限った話ではなく



「どうだったんですか、オーストラリア」

園田
「食べ物が良かったね
  ウィチェッティグラブ」


ウィチェッティ・グラブ
オーストラリア生息の蛾の幼虫

生のまま軽くあぶって食べる

ビーム短編傑作選 奥村セレクション いちぢく編 マンゴー編_d0089993_2125837.jpg


なんかこの人ならゴキブリでも素手で潰しそうだ



そんな事を竹内くんが考えているさなか

園田さんは家に竹内くんから借りていた資料を忘れた事に気づき

竹内くんに、帰りに家に寄って

お礼に夜ご飯をごちそうするからその時についでに取りにきてよという


まさか、虫を食べさせられるんじゃないかと不安に思う竹内くん

不安な心を抱えたまま園田さんの家につく


ドキドキ


園田
「ホワイトシチュー好き?」

竹内
「あ いえ・・・ハイ!」


そうだよここは日本なんだ 虫料理なんて出るわけが


ビーム短編傑作選 奥村セレクション いちぢく編 マンゴー編_d0089993_21252240.jpg




ビーム短編傑作選 奥村セレクション いちぢく編 マンゴー編_d0089993_21253569.jpg



そう大丈夫・・・
これは食品だ
食べられる虫なんだ
あれ でも日本で食べられる芋虫なんて・・・
じゃあ輸入品
でも虫を輸入だなんて・・・・ってそんな事考えてる場合じゃない!



園田
「あっ・・」

竹内
「ど どど どうしたん・・・・・」

園田
「ほら見てコレ 虫が入っちゃってる
 あーきっとあれだこれブロッコリー あれにまだ付いてたんだ
 竹内クン 大丈夫? 食べてない?」



園田
「あはははははッ
 そ そんじゃ何あたしに虫を食わされると思ってたの?
 ハハッ!おかし!
 いくらあたしでもそんな事しないわよ
 よく考えつくね そんな事」

竹内
「僕が勝手に変な想像しちゃってただけなんです。
 本当にもう・・・・・」

ビーム短編傑作選 奥村セレクション いちぢく編 マンゴー編_d0089993_21255339.jpg


園田
「それじゃあ さ
 あたしのここもホントに虫の味がすると思った・・・?
 キャッ!!
 今そこにゴキブリが・・・・」

竹内
「ゴキブリはこわがるんですね」

園田
「あたりまえじゃない 女の子なんだから」


虫を食べちゃうのにゴキブリは怖いだなんて

なんかちょっとかわいいな



園田
「どうしたの?」

竹内
「いや どんな味だったのかなぁと思って
 そっ 園田さん!!」

園田
「味?
 あぁ シチューのこと?
 また作ろうか?」

竹内
「あ はい ぜひ」
by souhu090 | 2008-12-09 21:25 | コミック